HootSuiteはAWSの障害から如何に回復したか

21日の夜、いつも使っているTwitterのクライアントソフトHootSuiteを起動して、ツィートを見ようとしたところ、なんだか調子悪い。投稿するとエラーになる、ツィートリストの更新も時々エラーになる。ま、こんな夜もあるさ、と諦めてベッドへ。次の朝、再チャレンジしたものの、むしろエラーの発生確率が高まったような気がして、直接Twitter.jpにアクセスしたところ、アマゾンAWSに障害が発生していることを知ったわけです。
AWSの障害は数日続き、大きな話題となりました。
このAWSの障害については、別途書きたいと思いますが、HootSuiteが如何に障害から回復したかについて、InformationWeekに記載されていますので、それを紹介しましょう。クラウドを考える上での参考になると思います。

HootSuiteはアマゾンのクラウドコンピューティングサービスを使うことにより、急速に成長することができた。ただし、今回の障害によりHootSuiteは、サービスが実際どの程度の信頼性を有しており、今後の障害リスクを如何にヘッジするかを再検討している。
HootSuiteのCTOであるSimon Stanlake氏が「全くの最悪ケースのシナリオ」と呼ぶ、アマゾンAWSの東海岸のデータセンタが障害になった木曜日、一日分の営業日をロスしたことになる。
ウェブ上の(Salesforce.comの)Chatterをモニターするソーシャルメディア・ダッシュボード機能を提供するHootSuiteは、木曜日の1:00amから7:00pmまでオフラインになった。その後、同じアマゾンデータセンターの異なるAvailability Zone上にバックアップサーバからサービスをリストアすることが出来た。アマゾンは、これらのZoneを高可用性のアーキテクチャの一部として市場展開している。すなわち、データセンター内の1つのZoneに障害が発生しても、その他のZoneに存在する顧客には影響がない設計になっていた。しかしながら、バージニアデータセンターの4つのZone全てが木曜日の事象が発生中影響を受け、データセンター・サービスは週末まで完全復活しなかった。
HootSuiteは、その時点でオフラインのAvailability Zoneに囲われていた、いくつかのカスタマデータを犠牲にし、火曜日の夜の時点のバックアップを元に進め、木曜日の夜にサービスを回復できた。これは、その期間中の新規ユーザや更新を行ったユーザ操作の一部を消失したことを意味する。
ブログへの投稿で、HootSuiteは、全ての$50ドル(および企業ユーザには追加の措置)を提供するとしている。HootSuiteのサービス規約では、24時間以上サービス停止の場合にのみ、払い戻しをするとしている。「ユーザに不便をかけたことを認識しており、正しいことをしたいのだ」(CEOのRyan Holmes氏)
Stanlak氏はアマゾンのインフラがもろかったことは不快な驚きであったとしている。「全てのAvailability Zoneが駄目になるのは、地域全体を駄目にする地震のようなシナリオであるという印象を持っていた。」とStanlak氏はインタビューに答えている。
Satanlake氏は、一部はリスクは極めて少ないという観点から、バックアップとリカバリ計画をどの程度保守的にするべきかを決定していた。例えば、HootSuiteの本番データベースとWebサービスのインスタンスを頻繁に同期化したもので、いざというときには本番運用できる「ホットバックアップ」を維持するために必要な費用を評価する際に意味が出てくる。リスクは比較的に低いと考えていたため、一日分のデータを消失するリスクを受け入れていたのだ。
Stanlake氏によれば、HootSuiteのサービスでは、ユーザアカウントデータの管理はアマゾンのEBS(Elastic Block Storage)サービスに異存していた。木曜日の午後遅くまでに、アマゾンは4つのAvailability Zoneのうち、3つのZoneでサービスのリストアを完了した。しかし、HootSuiteの本番データベースを含むZoneはアクセスできなかった。時間が経つにつれ、またアマゾンが問題解決に近づいていないように思えたため、エンジニアチームはデータベースのバックアップコピーを元にサービスのリストアする以外に選択肢はないと決断した。「我々はこんな決定をしたくなかった。ただ、結果的にベストオプションであった。」(Stanlake氏)
というのも、HootSuiteは日曜日になるまでデータベースへのアクセスが回復しなかったからだ。
このような大変な状況であったが、Stanlake氏はクラウドコンピューティングのアイデアはまだ生きているとしている。技術をベースとしたスタートアップ企業にとって急速に成長するためには、標準的なWeb戦略になっているからだ。
「これらのサービスがなければ、今日の我々はなかったことに間違いないと思う。再発防止に関してサービスプロバイダと真剣な議論をする予定であることは確かだが。」(Stanlake氏)
「あらゆる可能性を否定しないが、おそらくすぐにアマゾンから移ることはないのではないかと思う。」(Stanlake氏)
「HootSuiteは冗長化に加えて、地域的に世界中の顧客をカバーするために、他のデータセンターとのリプリケーションするインフラ構築をすでに進めている。おそらくこの計画を加速するだろう。しかし、最も効率的な分散アーキテクチャの構築には時間がかかる。難しいのは、それを適切に行うことなのだ。」(Stanlake氏)

クラウドコンピューティングとパワー・トゥ・ザ・ピープル

パワー・トゥ・ザ・ピープル(Power to the People)は、1971年に発表されたジョン・レノンの楽曲です。日本語に訳せば「人々に力を」ということで、東日本大震災後、テレビでも何度か流れています。
クラウドが広まるにつれ、人々、つまりエンドユーザの意向が大きくITのあり方に反映されてくるようになりました。従来のITでは、エンドユーザの声を反映するようにシステム構築するわけですが、必ずしもエンドユーザの声が十分に反映されているとは言えないシステムが散見されます。なぜなら最終的にシステムをコントロールするのはIT部門であって、エンドユーザではなかったからです。
クラウド、特にSaaSの登場により、エンドユーザがソフトウェアを選んで、使い始めることも、やめることも、容易にできるようになってきました。

Internet.comCloud Computing and Power to the Peopleという記事でそのあたりのことに触れられていますので、ご紹介しましょう。
記事を書いているJeffrey Kaplanによれば、
「エンドユーザの意見はクラウドコンピューティング市場の急速な台頭の重要な要素になっている。ベンダーは、広告やソリューションの設計方法においても、ますますエンドユーザにアピールする方向に傾いてきている。これは全てITのカスタマイゼーションの一部であり、企業の社員がラップトップ、スマートフォン、その他の携帯端末を自身で選択するようになってきているということと同じだ。これらは企業が会社のオフィスを出て、自宅や社外で仕事をすることを奨励していることに起因している。
エンドユーザが権限を持つことにより、従来のレガシーでオンプレミスの企業アプリケーションに対する代替としてのSaaSの出現に伴い
ソフトウェア産業の変革が進むことになった。これらは、自身の仕事を完遂するためにより簡単でより生産的なものを求め、不満をいただいている社員をターゲットにした。
Salesforce.comは、従来のCRMやSFAにいやというほど満たされていて、そのことに反逆的な営業マンをターゲットにしたトーンで展開した。今では、SaaSオプションはほとんど全てのビジネス・アプリケーションを置き換えつつある。」
「質素で限られた予算でもAmazon Web Service(AWS)は年10億ドル規模のビジネスに短期間で成長する一方、ホスティング、アウトソーシング、ハードウェアなどの産業の有り様を根本的に変えてしまおうとしている。」
「”クラウドコンピューティングの言葉を誰が最初に言い出したのかは誰も定かではなくいまだにその定義で議論している。しかし、広範なクラウドサービスがもたらす、実体があり測ることが出来る利点を教授する人が増えている。」
「グリーンであることが市場から好意的に見られるために企業にとって必要なものになってきており、クラウドサービスを提供することが、ハイテク企業やソフトウェアベンダーのプロダクト・ポートフォリオ上不可欠になってきている。リーダー的企業における経営戦略においてクラウドサービスがいかに中枢的役割を持っているかは、Leo ApothekerのHPのプラントとポジショニングのビジョンに鮮やかに描かれている。
問題は、「クラウドワッシング」、すなわち、いくつかのベンダーがブランドの付け替えやパッケージのし直しで既存の機能をクラウドに関係しているように見せること、を行っているため、市場の成長を阻害しかねないことだ。
この場合、例えば賢明かつ権限を持ったカスタマーなどの群集が知恵を持つことにより、ベンダーが市場の勢いを削ぎ、ますますパワフルなソリューションのクラウド経由での提供が促進されるのだ。

2011年中小企業向け技術予想トップ10:第2話

IT Analysisというサイトで、SMB Groupが行った2011年中小企業向け技術予想トップ10が紹介されています。この予想を検証してみたいと思います。

No 2. 中小企業がソーシャルメディアの今ラインを整理するよう求める

中小企業は、ソーシャルメディアの流れにのり、新規顧客の開拓や顧客サービスの改善に役立てようとしている。しかし、(ツィッター、Facebook、ブログなどの)ソーシャルメディア間をまたがるマーケティング、ブランディング、評判、さらには、これまでのCRMソリューションを管理していくのは悪夢のようだ。2010年市場への道と題した調査にも記したように最も大きなチャレンジでもある。

2011年、中小企業は、異なるチャネルにまたがるインバウンドおよびアウトバウンドの活動を効率化し、その効果を計測できるようなひとまとめにしたソリューションを求めるようになる。

ベンダーはこれらのチャレンジに対応できるよう努力している。例えば、BatchBlueの”Social CRM”は、小規模ビジネス向けに営業のコンタクトと、ソーシャルメディアへのフィードを統合している。HubSpotのインバウンドマーケティングは、統一したダッシュボード上で、「見つけてもらえる」ようなコンテンツを作成し、最適化し、広め、より多くの取引をまとめ、web上で関連するやりとり同士をリンクすることに役立つ。Sage CRMソリューションは、ソーシャルメディアと、ビジネスチャンスやコンタクトを統合し、営業、セールス、サポートに携わる人々の営業活動やマーケティングキャンペーンの優先付けや絞りこみをより効果的に行うことができる。Salesforce.comのChatterはSalesforceユーザには無料で提供され、プロフィール、グループ、オンラインドキュメント共有、タスク管理、コンタクト、ウェブフォーム、ステータス更新、ニュースフィードをCRMと統合することが可能となる。

OracleがSalesforce.comを買収する!?

某スポーツ紙の見出しのようなタイトルですが、InfoWorld.comに掲載されているDavid Linthicum氏の2011年の予測を書いた記事です。

この時期になると、来年はどうなるかの予測記事が多くなるものですが、その中でもOracleがSalesforce.comを買収するという記事は結構目を引くものではないでしょうか?彼の記事は以下のように書かれています。

「OracleとSalesforce.comはこのところ仲がよさそう。この二社が組み合わされれば、短期間にお金を作ることができる。Oracleは、Force.com開発プラットフォームを含むSalesforce.comのチャネルになりえる。またOracleには、まさしくうまくいっているクラウドが必要。このコンビネーションの唯一の問題はSalesforce.comの名刺に印刷されている「No Software」のロゴを消さなきゃいけないことだ。」

そうならないように期待したいところです。ソフトウェアありきとソフトウェア不要は、そもそものコンセプトが異なっていて、一緒になりえないもののはずです。ただマイクロソフトや他の大手ベンダーも同様、多面待ちというか、あれもあるし、これもある、というアプローチをとり始めているため、一企業内で自己矛盾を起こしているような感じですが、あながち有りえない話ではないと思います。

Linthicum氏は、他にも予測を書いていますので合わせて紹介します。
「クラウドがハッカーを可能にする。クラウドは単にコストメリットのあるソリューションばかりでなく、暗号解読や大手企業にハッキングしようとする者は、他のクラウドを攻撃するためにクラウドを使えばいいことを知ることになろう。政府や企業をハッキングしたり、その他の犯罪を犯すためにクラウドのパワーが使われたという記事が2011年に現れることになるだろう。」

これも十分あり得る話です。技術計算用としてリソース的にも金額的にもクラウドが使える状態になってきていることは、同時にハッカーにとって、暗号を解くためにさほどコストと時間を必要としなくなってきているということを意味しているからです。

「クラウドがいつもコストメリットがあるというわけではなく、高い料金を設定しているところもあるが、高料金が理由で商談にならなくなってきている。このため、徐々に料金が下がってきている。2012年までに30%料金が下がるとともに、サービスと信頼性が向上すると予測する。」
30%かどうかはわかりませんが、競争が激化すれば価格が下がってくるのは、どんなものでも同じです。

「2010年は米国政府関連でいくつかのクラウドの契約が行われたが、FedRampやNew Infrastructure Cloudの契約がなされたことにより、2011年の米国政府がさらにクラウド化を進めるための基礎となるだろう。クラウドを定義した米国立標準局はガイダンスを追加し、2011年もリーダー的存在で有り続けるであろう。 」

米国はオバマ大統領がクラウド化をバックアップしているが、日本政府はリーダーシップを発揮できていないため、また米国に水を空けられてしまいそうな予感。